続きです。
●そしてダンスの遊び場が、２０代３０代のおいちゃんにとっても楽しい時代が、確かにあった。
●故きを温ねて新しきを知る。
そんなことを言いました。
かれこれ３０年近く前、おいちゃんが初めてダンスホールでアルバイトをした頃のお話です。
当時の状況を簡単に言えば、いまダンスを楽しんでいる層がそのまま３０歳若くなったと思えばよろしい。今の平均が７０代だとすれば、当時は４０代。
まあ当然活気はあります。男性もけっこうたくさんいました。夜なら、半分とは言いませんが３～４割が男性だったような気がします。
そこへ２０代そこそこのピチピチのオニーチャンが紛れ込むんですから、そりゃ可愛がってもらいましたよ♡
お客さんが「福袋に入ってたけど派手すぎて自分では使えないから」とくれた真っ赤な太いベルトを巻いて、ラテンダンサーは尻振ってナンボ！とばかり、踊っている相手のことなんかそっちのけで跳ね回ってました。勢いだけで、リードらしいリードなんてありゃしません。女性のお客さんに笑いながら「私はここにいるから、あなた勝手に踊っててちょーだい」なんて言われたっけ（笑）
目立ちまくりモテまくってりゃ、天下獲ったような気にもなります。若造ですから。
しかしそんなおいちゃんを戒めたオヤジがいました。
アルバイト先のダンスホールの経営者クラさん、当時４２歳。
「お前はバカか」
お客さんより若くて踊れりゃモテるのは当たり前。しかし、お前がいいカッコできるのはこの「場」のおかげなんだぞ、と。
いいカッコして目立って、女性客を引っ張ってきてくれて、それはいい。だが他の男性客の気持ちを考えたことがあるか？自分が連れてきた女性を店の若造がキャーキャー言って喜ばせて、主役をかっさらった挙句に挨拶も無しに背を向ける…面白いワケがなかろう？
遊び場は、お前ひとりで成り立っているワケじゃない。
…いい教育を受けたと思います。
「場」。
男性も女性も、踊りの上手な人もそうでない人もいて、それぞれいいカッコしたかったりモテたかったり、黙って座って音楽を聴いてゆったりしていたかったり、ちょっと刺激を味わいたかったり、新しい出逢いが欲しかったり…
いろんな人がいて「場」は成り立ちます。
例えば小学校なら、勉強のできる子、走るのが速い子、ひょうきんな面白い子、歌の上手い子なんかが目立つんでしょうか？でも平凡な子、何やってもできない子、その他大勢にも居場所、ポジションがあるはず。目立つ子以外が全員登校拒否したら、クラスは成り立たんし目立ちようもない。
ダンスの遊び場でデカい顔のできるのは、踊りの上手い人と金放れの良い人（笑）でも、その他大勢がいなきゃ気持ちよく遊ぶことはできんのです。いくらかっこよく踊っても、誰も見ていないフロアは侘しい。
おいちゃんはクラさんからそのように教わりましたが、残念ながら社交ダンス界はそのようには動きませんでした。
ダンスホールで、素人の男性は今や「石ころ」扱い_|￣|○､
職業ダンサーは自分が「目立つ側」の人間になろうとするばかりで、男性客になど構っちゃいない。ペアで来ている女性を誘うのに、隣に座っている男性に「よろしいですか？」と挨拶くらいせんですか普通(￣△￣)
女性客は女性客で、自分を上手に踊らせてくれるダンサーしか目に入らず、勇気を出して誘いに来た男性客をあたかも蝿でも追っ払うがごとく。
上手く踊れない素人の男性や初心者を、いったい誰が救う？
プロ並みに上手くなるまで遊ぶなと？(T ^ T)
どこでどう間違ったのか…。
当然の結果として、男性は姿を消し、ダンスホールは「踊りたい女性客が男性ダンサーを買う」場所になりました。表現はちょとキツいですが、あえて言います。
札幌では女性客が専属ダンサーを雇うことを「買い取り」「お買い上げ」などと言うようです。せっかく遊びに来たのだから、たくさん踊りたいのは当たり前。ダンサーもその方が割がいいですし、そこは需給の一致で商売が成り立って問題ないでしょう。
がしかし…「買い取り」「お買い上げ」ですよ奥さん(￣△￣)
買い取る女性も、買い取られる男性も、ちょっと美意識というものについて考えた方がいい。
ちなみに東京あたりでは、同じことを指して「チャーター」と言うそうです。やることは同じでも、使う言葉にちょっと意識の差を感じますね。
さて。
またタイトルに沿ってないような気もしますが、まあ結論の出る話でもなし、今んとこ良しとしましょかね。
何でも昔と同じがいいワケじゃない。
しかし、上手い人もそうでもない人も、男も女も、いろんな人が出入りしてそれぞれに楽しみを見つけられる、そんな遊び場が懐かしくはあります。
※文脈上触れませんでしたが、追い払われる男性側にも問題があるのは重々承知しておりますので悪しからず（笑）
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